楽曲解説
『白鳥の湖』『眠れる森の美女』とともに、チャイコフスキー3大バレエとも呼ばれる『くるみ割り人形』。チャイコフスキーが最後に手掛けたバレエ音楽でもあります。1892年に完成され、同年サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で初演されました。
アレクサンドル・デュマによる童話『はしばみ割り物語』を原作とし(これにもさらに原作が存在する。E.T.A.ホフマン『くるみ割り人形とネズミの王様』)、クリスマスイブにくるみ割り人形を贈られた少女クララが人形ともに冒険をする物語が展開されていきます。クリスマスにちなんだ作品であることからクリスマスシーズンに多く上演・演奏されています。
作品71aはチャイコフスキー本人によって再編された組曲版で、バレエの初演よりも先に初演が行われました。この組曲は「I. 小さな序曲」「II.性格的舞曲集」「III.花のワルツ」の3曲からなりますが、実際は2曲目は細かく6曲に別れるため全8曲構成になっています。
I.小さな序曲 (Ouverture miniature)
タイトルの通りコンパクトな序曲で、チェロとコントラバスを編成から除き、メルヘンなサウンドの楽曲です。第1主題と第2主題を2回繰り返す複合2部形式で構成されています。
II.性格的舞曲集 (Danses caractéristiques)
a 行進曲 (Marche)
子どもたちがクリスマスツリーを囲むように踊るシーン。3連符が特徴的なファンファーレと、まるで子供が可愛く飛び跳ねるような音型が繰り返され展開されていきます。
b 金平糖の精の踊り (Danse de la Fée Dragée)
当時発明されたばかりのチェレスタが大活躍、金平糖の精がひとり
で踊る楽曲です。バスクラリネットの合いの手はバスクラリネット奏者にとって、オーケストラにおける活躍の場と知られていることでしょう。
c ロシアの踊り〈トレパック〉 (Danse russe(Trepak))
快活なテンポのロシア農民の踊りです。エネルギッシュなパッセージとタンバリン、それから低弦によるフレーズが輝く楽曲担っています。最後にはaccelerandoによりテンポが上がりそのまま駆け抜けるように終わります。
d アラビアの踊り (Danse arabe)
ジョージアの子守唄が原曲と言われているこの曲は、規則正しいヴィオラとチェロによるリズムに、異国の風を感じるメロディが展開されます。
e 中国の踊り (Danse chinoise)
こちらも規則正しい伴奏に今度はフルートがメロディを奏でます。弦楽器によるピッツィカートも中国的に聴こえてきます。
f 葦笛の踊り (Danse des mirlitons)
羊飼いが葦笛を吹いて踊る楽曲で、オーケストラでは3本のフルートによって演奏されます。中間部には金管楽器が短調で登場するのも面白いポイントです。
III.花のワルツ (Valse des fleurs)
オープニングに主題が提示され、続いてハープの大きなソロが奏でられます。ホルンが優雅に主題を奏で、弦楽器も加わり豪華に演奏されます。途中フルートによる新たな主題や、短調によるチャイコフスキーらしいフレーズを挟みつつグランドフィナーレを迎えます。
今回の編曲ではハープのカデンツァをサックス用に構成し直しました。ぜひ自由にオリジナルのカデンツァで演奏してみてください。
楽曲データ
| 演奏時間 | ca.30:00 |
|---|---|
| 最高音 | S.Sax. - High Bb(実音) |
| JASRAC作品コード | - |
| 発売日 | 2026.6.26 |